政府は、広島・長崎への原爆投下から80年を迎える2025年に、被爆体験の証言者の海外派遣を強化する方針を固めた。被爆者や体験談を継承し語り部活動を行う若者が対象で、核廃絶実現へ向け被爆の実相を広く伝える取り組みの一環。岸田文雄首相が米ニューヨークで23日に主催する核軍縮関連会合で表明する。複数の政府関係者が19日、明らかにした。
新事業の名称は「被爆の実相への理解促進事業」。政府は証言者の海外派遣に加え、世界各国からの広島・長崎への訪問促進と、集中的な対外発信を柱に据える。
首相が主催するのは、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)交渉開始に向けたハイレベル友好国(フレンズ)会合。上川陽子外相が3月に立ち上げを表明した。核保有国の米国、英国、フランスを含むG7各国の他、ブラジル、オーストラリアなどの参加を想定する。
首相は会合で、被爆者が高齢になっている現状を踏まえ、核兵器の恐ろしさを世界や次世代に広める重要性を指摘する。退任後も「核兵器のない世界」に向けた歩みを支えていく決意を示す。
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