日中両政府は20日、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、中国による日本産水産物の全面禁輸措置を緩和することで一致した。日本政府と国際原子力機関(IAEA)が同日、中国も交えた処理水のモニタリング(監視)の追加実施を決めたことを受け、合意にこぎつけた。

 岸田文雄首相が同日、IAEAのグロッシ事務局長との電話協議後、記者団の取材に明らかにした。首相は「我が国として、この追加的なモニタリングを歓迎する」と表明。中国との合意については「中国側は輸入規制措置の調整に着手し、基準に合致した日本産水産物の輸入を着実に回復させることになった。我が国の立場が規制の即時撤廃であることに変わりはなく、今回の発表を規制の撤廃につなげていく」と説明した。

 首相とグロッシ事務局長との電話協議では、IAEAの管理のもとで各国が参加し、専門家による海水の試料採取や、分析機関どうしの比較を行う「追加的なモニタリング」を実施することで一致した。中国を含む周辺国の参加が想定されている。

 中国は処理水を「核汚染水」と呼んで批判し、昨年8月の海洋放出を受けて日本産の水産物の全面禁輸に踏み切った。その後、首相と習近平(シーチンピン)国家主席が昨年11月の会談で、処理水問題を「協議と対話を通じて問題を解決する」ことで一致。今年から実務者間の交渉が続いていた。(高橋杏璃)

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