自民党総裁選の投開票日となった27日午前、候補者の1人である河野太郎デジタル相が記者会見で「こういう報道は選挙妨害でもありますし、政治不信を招く要因だと思います」と語気を強めて批判する場面があった。(デジタル編集部)

自民党総裁選の報道を批判した河野太郎デジタル相(デジタル庁の会見動画のスクリーンショット)

河野氏が言及したのは、所属する自民党麻生派のトップである麻生太郎副総裁が、総裁選で高市早苗経済安全保障担当相を支持する意向を固めたとする産経新聞の報道だ。 産経新聞は26日夜、「<独自>自民・麻生副総裁が高市氏支持へ、麻生派議員にも指示 1回目から」と題して報じた。複数の党幹部に確認した話として、麻生氏が派閥議員に、総裁選の1回目の投票から高市氏を支援するように指示を出したという内容だ。 記者会見で報道について問われた河野氏は、「そんなことは全く、私、聞いておりませんし、麻生副総裁は、きょうの私の決起集会にも出席予定と聞いております」と事実関係を否定した。

◆「どれだけ政策を訴えても政局ばかり優先される」

報道機関への苦言は止まらず、「結局、候補者がどれだけ政策を訴えても政局ばかりが優先され、しかも、こういう『飛ばし記事』(事実確認が不十分な記事)があたかも事実であるかのごとく流されるのは、極めて残念」などと1分超にわたって訴えた。 以前は、自民党総裁にふさわしい政治家の世論調査で上位に入ることがあった河野氏だが、今回の総裁選では苦戦を強いられている。

自民党麻生派会長の麻生太郎副総裁

8月26日の立候補表明の記者会見では、河野氏は「かつて世論調査やると、『河野太郎さん第1位』ということもあった」と苦笑いを浮かべつつ、「残念ながら少し数字が悪くなっておりますが、デジタル化を進めていく上であったり、いろんなことが影響しているのかなというふうに思います。世論の支持を得られるように努力をしていきたい」と語っていた。 国民人気に陰りがみられる河野氏が頼ったのは、麻生派の支援だった。河野氏は、同じ神奈川県連所属で「脱派閥」を唱える菅義偉前首相とも近い関係にあるが、今回は菅氏と距離のある麻生氏に頼った形だ。 河野氏は記者会見で、派閥のあり方について「自民党全体として派閥は解散すべきとした方向性は妥当だと考えるか」と問われると、「カネについては、派閥のパーティーはやらないということになり、この問題はなくなってきた。人事についても自民党のガバナンスコードで、派閥による人事はやらないということになっている」と答え、派閥解散に慎重な姿勢を示した。 

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