決選投票に残れなかった陣営の議員票が勝敗を決した形です。

決選投票で積み増した議員票を見ますと、石破さんが143票だった一方で、高市さんは、101票にとどまりました。

この背景についてある衆議院議員は、選挙が早いかもしれないという中で刷新感と選挙の顔を求めた結果ではないかと話していました。

また、選挙戦終盤に、岸田政権の経済政策を引き継ぐ考えを強調したことも功を奏したという議員もいます。

さらに昨夜、派閥や旧派閥単位で決選投票での高市さんへの投票を指示したという情報が流れたことで、脱派閥の選挙戦を求める人たちには逆効果だったのではないかという見方も出ていまして、要因はさまざまだと思います。

派閥の影響力は残ったまま?

Q.今回は「派閥なき総裁選」とも言われましたが、旧派閥単位でまとまった行動を模索する動きもありました。派閥の影響力は残ったままと見ていいのでしょうか。

影響力は残っていたと思います。実際、有力議員から決選投票での投票先の指示があったと明かす議員もいます。

一方で、派閥の力学もあってこれまで4回、総裁選挙で敗れてきた石破さんが今回勝利したことは「脱派閥」の象徴とも言えるかもしれません。

今後、こうした影響力がどうなっていくのか、石破さんの政権運営をよく見ていく必要があると思います。

役員人事 注目ポイントは?

Q.石破新総裁、このあと党役員人事と組閣に臨むことになりますが、どこに注目していますか。

石破さんはさきほどの記者会見で「人事はまだ白紙だが総裁選挙を戦った8人にふさわしい役職をお願いすることは当然だ」と話していました。

今回は「刷新」と「安定」を両立させる必要がある難しい人事になると思います。

まずは、政治とカネの問題を受けた信頼回復に向けて、清新な人材を登用し、いかに党の刷新を図るかが課題になります。

一方で、選挙戦の最終盤では陣営間の「引き剥がし合戦」がしれつを極め決選投票でも僅差でしたので、高市さんの陣営や有力議員にも配慮しなければ、しこりが残る可能性があります。

党内基盤が強くない石破さんが「刷新」と「安定」のバランスを取り、どう挙党態勢を構築するか、さっそく問われることになります。

衆議院の解散・総選挙の時期は?

Q.そして、気になるのが衆議院の解散・総選挙です。先ほどの会見では「適切な時期を判断したい」という言葉もありました。その時期、どうなると見ていますか。

石破さんはきょうの会見でも、野党と論戦を交わし、なるべく早く審判を受けると説明しました。

石破さんの考えの中には、来月1日に召集される臨時国会で総理大臣に就任したあと、まずは衆参両院で代表質問や予算委員会の質疑を行う考えがあるんだと思います。

また石破さんは党首討論にも意欲を示していますので、来月中旬ごろには立憲民主党の野田さんらとの丁々発止での論戦が繰り広げられる可能性もあります。

石破さんとしては人事と国会論戦を行った上で、新たな政権に対する世論の反応や支持率などを見極めながら、解散のタイミングを探るものとみられます。

野党側はどう対峙?

Q.一方、野党側ですが、石破新総裁にどう対峙していこうとしているのでしょうか。

早期の解散・総選挙も念頭に、政治とカネの問題を厳しく追及する方針です。

この問題をめぐって石破さんは、選挙戦の中で収支報告書に不記載のあった議員に厳しく反省を求めて総裁自身も説明責任を負うと主張してきました。

ですので、総裁自身が具体的にどのような説明を行うのかをただし、政策活動費の廃止などさらなる政治資金規正法の改正を求めるものとみられます。

さらに、大雨被害を受けた能登地方の復旧支援のため、補正予算案の編成と審議も要求し、早期の解散に大義はないと迫ることにしています。

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