派閥裏金事件を引きずる自民党に対し、公明党がいら立ちを募らせている。政治資金規正法改正に向けた与党協議は合意を先送りし、衆院補欠選挙では唯一の自民候補への応援も控えめ。次期衆院選を意識し、裏金事件のあおりをまともに受けかねないとの危機感が強く、あえて「自公」の距離感をにじませているようだ。
公明の山口那津男代表は25日の中央幹事会の冒頭、難聴の高齢者や「消滅可能性」自治体への対応を訴える一方、後半国会最大の焦点となる規正法改正や、投開票が3日後に迫った補選には触れなかった。この場は山口氏が当面の方針を示すのが通例だが、党関係者は「自民の責任が大きい。あえて言及しなかった」と解説した。
「政治とカネ」を巡り、公明からは自民を突き放す発言が続く。22日の衆院予算委員会では赤羽一嘉幹事長代行が岸田文雄首相を前に「同じ国会議員として恥ずかしい」と強烈に批判した。
規正法改正の自民案は、公明が再三求めた挙げ句ようやく公表されたが、公明が主張する政策活動費の使途公開などは盛り込まれなかった。24日の自公幹事長会談で自民の茂木敏充氏は「週内に与党案をまとめたい」と提案したが、公明の石井啓一氏は「難しい。時間がいる」と切り捨て、合意目標は5月の大型連休明けに持ち越された。
衆院3補選のうち、唯一の与野党対決となった島根1区で自民候補の推薦を公明が決めたのは告示前日。党内で慎重論があったためだ。山口氏は23日の記者会見で、自身が応援入りする予定は「ない」と言い切った。
これまで国政選で公明は「自公連立が政治の安定につながる」と再三アピールしてきたが、裏金事件で高まる政治不信を前に「このままではそんな寝言は言えない。裏金議員も推薦できない」(党関係者)と憤る。逆風下で衆院解散・総選挙が行われれば、公明も大苦戦が予想される。「自公連立」の枠組みが足かせともなりかねない。
「政策活動費の扱いなどが具体化できなければ、うちは立っていられない。そうなれば決裂だ」。公明幹部は規正法改正の与党協議を巡り自民をけん制した。
記者会見する公明党の山口那津男代表=23日、国会内
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