全国の信用金庫でつくる「よい仕事おこしネットワーク」(事務局・城南信金)は26日、東京都内で「第3回全国首長サミット」を開いた。

◆「消滅可能性」6自治体が該当

 民間の有識者グループが24日に公表した「消滅可能性自治体」に話題が及んだ。人口減少の深刻化などから将来的に消滅の可能性が高いとされる自治体のことで、会合に参加した中では6自治体が該当している。   進行役から「消滅可能性自治体」としての打開策を問われると、香川県東かがわ市の上村一郎市長は「人口減少や少子高齢化は前提として捉えている」と説明。その上で、社会機能維持のためには「いかに若い人たちに評価されるか(が重要)」と強調した。  雇用に言及した意見も相次いだ。山口県長門市の江原達也市長は「(転出の多い)若い女性が働く場をどう創るか、議論しているところ」と現状を紹介。山形県長井市の内谷重治市長も「デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化が居住地を問わず働ける環境づくりにつながる」として、民間企業と足並みをそろえて取り組むことを重要視した。  香川県さぬき市の大山茂樹市長からは「単に利便性を高めたところで解決する問題ではない」との指摘も。その上で、持続可能性は定住人口だけでなく観光人口なども含めて考える方法を提案し「そこまで悲観することもないのでは」との見方も示した。(高田みのり)   ◇

◆全国の信金と中小企業がつながる「よい仕事おこしネットワーク」

 全国首長サミットは、全国の信用金庫などでつくる「よい仕事おこしネットワーク」の取り組みの一環で開かれている。  同ネットワークは、地域や業種を超えた200以上の信金と1万2000社以上の中小企業がつながっている。東日本大震災の被災地支援のため2012年に始まった商談イベント「よい仕事おこしフェア」を毎年積み重ねる中で、各地の信金の強みを通年で地域経済の活性化に生かそうと18年12月に発足した。  連携はビジネス関係にとどまらず、環境省や復興庁をはじめとする省庁や自治体、大学など教育機関、東京新聞を発行する中日新聞社を含めたメディアなどにも拡大。23年には、連携関係にある自治体がそれぞれの課題を共有し、解決に役立てる場として、初めて首長サミットを開いた。  各自治体はネットワークを通じて、さまざまな活性化策に取り組んでいる。今回の首長サミット参加自治体では、静岡県伊豆の国市や新潟県柏崎市など9自治体が特産品を生かしたクラフトビールを商品化。福島市は地元出身の作曲家古関裕而(こせきゆうじ)さんが手がけた校歌を掘り起こし、動画にする地域振興プロジェクトを進めた。(砂本紅年) 

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