衆院選で各党幹部が力を入れる街頭演説の風景が、3年前の前回選から変化している。背景にあるのは、安倍晋三元首相銃撃事件などを契機とした警備体制の強化だ。19日の自民党本部、首相官邸襲撃事件を受けて厳戒度はさらに上昇。SP(警護官)が付く対象者が比較的多い与党は聴衆と物理的に距離を取らざるを得ず、直接触れ合って支持拡大を図ることとのはざまで悩む。積極的に接触を試みる野党との間で濃淡も出ている。
「本当はもっと近くで話したい」。石破茂首相(自民党総裁)は19日、鹿児島県内の演説で厳しい警備を嘆いた。聴衆は数十メートル離れた上、鉄柵で囲われたエリアに入場を限定された。入場するにも金属探知機で身体検査を受ける物々しさだ。
前回選では、当時の岸田文雄首相を含む警護対象者が聴衆の輪に入っていくのは珍しくなかったが、2022年7月の安倍氏の事件以降、そうした光景は激減している。
ただ石破首相は演説後、SPらが目を光らせる中で、最前列の聴衆と握手して回った。首相周辺は「握手は貴重な機会だから外せない」と話す。
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