衆院島根1区補欠選挙の敗戦を受け、取材に応じる自民党の茂木幹事長(28日、党本部)

衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が28日、投開票された。自民党は2つの不戦敗を含めすべての小選挙区で敗北した。立憲民主党は東京15区で新人、島根1区と長崎3区でそれぞれ元職が当選を確実にし、3戦全勝した。日本維新の会は候補を立てた2選挙区で立民に敗れた。

自民の茂木敏充幹事長は同日夜、党本部で記者団に「大変厳しい選挙結果だ。非常に逆風が強かった」と述べた。

自民の派閥の政治資金を巡る事件後初の国政選挙になった。自民は東京15区と長崎3区で候補の擁立を断念した。島根1区のみ新人が立候補した。

東京15区補選は江東区長選を巡る公職選挙法違反の罪に問われた柿沢未途元衆院議員(自民を離党)の辞職に伴う。立民新人の酒井菜摘氏が勝利した。

維新や参政党のほか諸派、無所属の元職や新人ら9人が出馬した混戦となり、政権批判票や自民支持層の票が分散した。酒井氏は共産党の支援も受けて票をまとめ、ほかの候補をかわした。

島根1区は細田博之前衆院議長の死去を受けた選挙で、立民元職の亀井亜紀子氏が自民新人の錦織功政氏をくだし、今回唯一の与野党対決を制した。亀井氏は自民の政治資金問題への対応を批判し、自民支持層にも支持を呼びかけた。

小選挙区制で初の選挙だった1996年の衆院選以来初めて、島根1区の議席を自民以外の政党が獲得した。

長崎3区は派閥の政治資金パーティー収入を巡る政治資金規正法違反で立件された谷川弥一元衆院議員(自民を離党)の辞職に伴う選挙だ。野党同士の一騎打ちになり、立民元職の山田勝彦氏が維新新人の井上翔一朗氏を破った。

3つの小選挙区は前回の2021年衆院選で、追加公認も含めていずれも自民が勝利していた。補選の結果は政権に打撃となり、自民党総裁の任期満了を9月に控える首相の衆院解散の戦略に影響を及ぼす可能性がある。

◇衆院東京15区補選立候補者
福永 活也 43 弁護士 諸新
乙武 洋匡 48 作家 無新
吉川 里奈 36 看護師 参新
秋元 司 52 元環境副大臣 無元
金沢 結衣 33 元会社員 維新
根本 良輔 29 会社役員 諸新
酒井 菜摘 37 元江東区議 立新
飯山 陽 48 大学客員教授 諸新
須藤 元気 46 元参院議員 無新

◇衆院島根1区補選立候補者
錦織 功政 55 元財務省職員 自新
亀井 亜紀子 58 元農水委員 立元

◇衆院長崎3区補選立候補者
山田 勝彦 44 元農水委員 立元
井上 翔一朗 40 会社役員 維新
(注)届け出順。敬称略

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