鬼木防衛副大臣(左から3人目)とフィリピンのテオドロ国防相(同4人目)=フィリピン国防省提供

フィリピンを訪れている鬼木誠防衛副大臣は29日、同国のテオドロ国防相と面会した。日本が供与する移動式警戒管制レーダーの引き渡し式典に出席した。中国を念頭に東アジアでの防衛協力を強化する。

移動式警戒管制レーダーは三菱電機が製造した。日本政府は防衛装備移転三原則が制定されて以降初となる完成装備品の輸出として、フィリピンにレーダー4基を輸出することを決めている。今回はその2基目にあたる。

木原稔防衛相は5月2〜4日で米ハワイを訪問する。日米豪比防衛相会談を開く予定で、鬼木氏を事前にフィリピンに派遣した。

日比は2回目となる外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を2024年中にも開く方向で調整する。自衛隊とフィリピン軍が共同訓練などをしやすくする「円滑化協定(RAA)」の年内の妥結に向けても協議を進める。

日本がフィリピンとの防衛協力を強化する背景には海洋進出を進める中国がある。

フィリピンは中国が米軍を侵入させない防衛の最低ラインにしている「第1列島線」上に位置する。エネルギーや物資を運ぶ海上交通路(シーレーン)の一部でもあるバシー海峡を挟んで台湾と向き合う軍事上の要衝にある。

交渉を進めるRAAを締結すれば、共同訓練や災害支援などで自衛隊と相手国の軍隊が相互往来しやすくなる。

インド太平洋の権益を日米豪比で守ることを念頭に、米国は日比にRAAの締結を促している。フィリピンは同国内で締結国軍の活動を認める「訪問軍地位協定(VFA)」を米豪と結んでいる。

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