衆参両院は11日午後の本会議で、石破茂首相(自民党総裁)を第103代首相に指名した。与党が過半数議席を持たない衆院の首相指名選挙は決選投票となり、首相が立憲民主党の野田佳彦代表を上回った。11日夜に自民、公明両党連立の第2次石破内閣が発足する。
衆院は1回目の投票で定数465の過半数(233)を得る候補がおらず、上位2人による決選投票になった。決選投票では2人以外に投じる無効票があった。衆院での決選投票は30年ぶりで史上5度目。
首相は組閣作業に入る。衆院選で落選した牧原秀樹法相、小里泰弘農相の後任にそれぞれ鈴木馨祐元外務副大臣、江藤拓元農相を充てる。9日に公明党の新代表に就いた斉藤鉄夫国土交通相の代わりに同党の中野洋昌元経済産業政務官を起用する。
ほかの閣僚は再任する。副大臣と政務官は13日に任命する方針だ。
皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て内閣が正式に発足した後、首相が記者会見で政権運営に関する考え方を説明する。
自公両党で衆院の過半数を持たない少数与党として発足し、予算案や重要法案の成立には野党の協力が不可欠となる。国民民主党を中心に政策ごとに協力する部分連合に向けた政策協議を進める。
国民民主は「年収103万円の壁」を解消するために所得税の非課税枠を103万円から178万円に引き上げることやガソリン減税などの実現を求めている。
11月中の策定を想定する経済対策や年末にかけての税制改正の議論を通じて着地点を見いだせるかが政権運営を左右する。政府・与党は経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案を臨時国会に提出し、年内の成立を目指す。
自民党派閥の政治資金問題を受けた政治改革は立民や国民民主などが政策活動費の廃止といった対応を求めており合意形成が必要だ。首相は早期の政治資金規正法の再改正に意欲を示している。
第1次石破内閣は11日午前の閣議で総辞職した。午後の衆院本会議で議長に自民党の額賀福志郎氏、副議長に立民の玄葉光一郎氏を選んだ。参院本会議では体調不良に伴い辞任した尾辻秀久議長の後任に、自民党の関口昌一前参院議員会長を選出した。
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