政府は14日、総合経済対策の原案を与党に提示した。ガソリン補助金は規模を縮小し2025年1月以降も続ける。小売価格の上限を1リットル185円程度にする想定だ。低所得世帯に給付金3万円を配り、子どもがいる場合は1人あたり2万円を加算する。
ガソリンは現在は1リットル175円になるように補助している。12月から2カ月かけて185円程度になるように補助を減らす。原案には「その後、状況を丁寧に見定めながら」補助を縮小するとも記した。
岸田文雄前首相が6月に「年内に限り続ける」と期限を区切ったものの、さらに延長する。経済産業省によると、11月中旬時点で補助がなければ191円程度になっていた。補助の効果はおよそ16円だった。
電気・ガス料金の負担軽減策も1月に再開し、3月まで実施する。23年1月に始まった軽減策はいったん終了したものの、24年8〜10月に酷暑対策を理由に復活させた。物価対策として再開を求める声が出ていた。
自民、公明両党が経済対策で協力を目指す国民民主党は再生可能エネルギー拡大のために上乗せする賦課金を停止して電気代を引き下げるよう提唱している。ガソリンは補助金ではなく減税を主張しており、3党の調整が必要になる。
3万円の給付金を巡っては、自民党が14日に開いた会合では出席者から「もっと出せばよい」と増額を求める声が出た。給付対象を住民税非課税世帯から広げるべきだとの意見もあがった。
公明党の石井啓一前代表は10月中旬、1世帯あたり10万円が目安と主張して自民党の森山裕幹事長が同調した経緯がある。
同様の給付金は23年度の補正予算で7万円だった。これと別に23年には予備費を使って住民税非課税世帯などに3万円を支給した。
30年度までに人工知能(AI)や半導体分野に10兆円以上を支援する枠組みも示した。ラピダスなどへの支援を念頭に、研究開発や量産投資などの補助金に6兆円、政府機関を通じた出資や債務保証に4兆円以上を投じる。
政府は現時点で経済対策の規模を13兆円台半ばで調整している。自公の要求を受けて給付金などを上積みすれば、さらに増える公算が大きい。首相は経済対策の裏付けとなる24年度補正予算案に関し、23年度補正の13兆2000億円を超えると明言している。
政府は11月中に経済対策を閣議決定する。月内にも召集される想定の臨時国会に補正予算案を提出し、年内の成立を目指す。
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