政府は22日、総合経済対策を決定する(写真は石破茂首相、21日)

政府は22日、物価高対策や国内投資の促進支援策などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定する。電気・ガス料金の負担軽減策を2025年1月に再開し、ガソリン補助金も規模を縮小して続ける。

財源の裏付けとなる2024年度補正予算案の一般会計からの支出は13.9兆円ほどを見込む。23年度の13.1兆円を上回る。国と地方自治体、民間資金をあわせた事業規模は39兆円程度となる。

林芳正官房長官は21日、予算案について「速やかに編成し早期に国会に提出したい」と述べた。政府は28日開会予定の臨時国会に提出し、年内の成立をめざす。

物価高対策は電気・ガス料金の補助を再び始める。23年1月に開始して一度は終了したが、24年8〜10月に酷暑対策として復活させた。家庭の電力使用量が最も大きくなる冬季の対策として1〜3月に実施する。

ガソリン補助金に関しては年内を期限としていたが、規模を縮小して延長する。現在は1リットル175円程度に抑えている価格上限を同185円程度にする。エネルギーを巡る補助は市場の価格形成を阻害し、脱炭素の流れにも反するとの批判がある。

物価高の負担が大きい住民税非課税世帯に1世帯あたり3万円を支給する。子育て世帯は子ども1人あたり2万円を加算する。支給は「重点支援地方交付金」を活用する。

半導体や人工知能(AI)分野の強化も書き込む。30年度までに10兆円以上を支援する。最先端半導体の製造を目指すラピダスなどへの支援を念頭に、研究開発や量産投資といった補助金に6兆円、政府機関を通じた出資や債務保証に4兆円を投じる。

石破茂首相の看板政策でもある防災・減災にも対応する。24年1月の能登半島地震と9月の豪雨災害からの復旧・復興支援を盛る。避難所となる体育館のエアコン整備も進める。

政府が経済対策をまとめるに当たり、与党の自民、公明両党と国民民主の政調会長が5回にわたり議論を重ねた。

与党は「年収103万円の壁」の引き上げなど国民民主の要求に応じた。3党は20日に合意文書を交わし、103万円の壁について「25年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記した。

補正予算案について「年内の早期成立を期する」と記した。

与党は10月の衆院選で過半数を割り込んだ。国会で予算案や法案を通すには野党の協力が欠かせない。3党の税制調査会が今後、103万円の壁などを巡り12月にかけて議論する。

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