閣僚らの資産公開に合わせて公開対象となる配偶者、扶養する子の資産報告書から「氏名」記入欄がなくなった。関係者によると、政府は2023年10月の公開時に変更措置を取った。

林芳正官房長官は22日の記者会見で理由を問われ、プライバシー保護のため様式を変えたと説明した。資産の推移を追えない事態も想定され、識者は「抜け道になる恐れ」を指摘する。

資産公開は、閣僚などの地位を利用した不正蓄財を監視するのが目的。リクルート事件で妻名義による財産隠し疑惑が浮上し、対象を配偶者と扶養する子に拡大した。

22年までの資産報告書は、配偶者らの「続柄」と「氏名」の記入欄を設けていたが、23年10月から「続柄」のみになった。

子どもが複数いるのに続柄を明記せず「子」とだけ書けば、就任時と退任時で資産の増減を比べるのが難しくなる。林氏は会見で「続柄を具体的に記載するかどうかは各閣僚の意向を踏まえて対応する」と述べるにとどめた。

政治資金に詳しい日大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「今の時代、公人に当たらない家族への配慮は必要だ」と一定の理解を示した一方、抜け道になる可能性に触れ「きちんと比較検証できる適切な公表形態を考えるべきだ」と話した。

〔共同〕

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