自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、離党勧告処分を受けた安倍派の塩谷立元文部科学相(衆院比例東海)は12日、処分を不服として岸田文雄首相(党総裁)に再審査を請求した。国会内で記者団に「党全体の問題であり、首相の責任も問われる」と訴えた。処分された39人で再審査を請求したのは初めて。認められなければ、離党届を提出する考えも示した。

自民党から離党勧告処分を受け、記者会見する塩谷立氏

 塩谷氏は「処分には事実誤認の点が多々ある。事実に基づいた公正公平な審査を求めたい」と主張。記者団から処分が重すぎるかと問われて「一部そういう考え方もある」と述べた。

◆「知らない」連発…「真相究明されてない」

 塩谷氏ら安倍派幹部は、政治倫理審査会や記者会見で「知らぬ存ぜぬ」を繰り返して説明責任を十分に果たしていなかったが、党の処分には「真相究明されない中で判断されることが問題だ」と不満を漏らした。裏金づくりを誰が始めたか分からないとして、党や国会の第三者機関による調査が必要と強調した。  党は16日にも総務会を開き、取り扱いを協議する。相当な理由があると認められれば党紀委員会で改めて審査する。認められない場合、処分が確定し、10日以内に離党届を出さなければ最も重い除名となる。  裏金事件では党紀委が4日に安倍派、二階派の議員ら計39人の処分を決定。安倍派の座長を務めた塩谷氏は、派閥パーティー券収入のキックバック(還流)を止め得る立場にいたのに適切に対応しなかったとして、安倍派の参院トップの世耕弘成前参院幹事長とともに、8段階の処分で2番目に重い離党勧告となった。世耕氏は既に離党している。(三輪喜人) 

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