陸海空自衛隊の部隊運用を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を設ける改正防衛省設置法などが10日の参院本会議で可決、成立した。与党と立憲民主党、日本維新の会などが賛成した。東アジア周辺に展開する米軍との連携調整を担う組織になる。2024年度末に東京・市谷に240人規模で発足する。
政府は22年に決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書で統合作戦司令部の設立を定めた。大規模災害や東アジアの有事の際に陸海空の自衛隊がより垣根を越えて即時に対応できる体制を整える。サイバーや宇宙、電磁波の新領域もカバーする。
司令部を指揮する「統合作戦司令官」を新設する。在日米軍の指揮権を持つ米インド太平洋軍司令官のカウンターパートとなる。これまで制服組トップの統合幕僚長がこの調整機能を担ってきた。
統幕長が首相らの補佐や戦略策定を担当し、統合作戦司令官が米軍との調整などを踏まえて現場の部隊を指揮するという役割分担になる。
自衛隊は06年に陸海空自衛隊と運用を調整する統合幕僚監部を発足させた。それでも部隊の指揮機能が十分ではないとの指摘があった。
日米両政府は4月の首脳会談の合意を踏まえ、自衛隊と米軍の指揮統制の連携向上をめざしている。司令部を窓口とし、日ごろから情報交換や有事を念頭に共同訓練の計画策定などを進める。
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