自衛隊の陸海空の各部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の創設を柱とした防衛省設置法などの改正法が10日、参院本会議で可決、成立した。自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みをそろえ、共同対処力を高める目的。圧倒的な軍事力と情報収集能力を持つ米軍の判断に引きずられ、日本の指揮権の独立性が損なわれる日米一体化の懸念は、審議を経ても解消されなかった。(川田篤志)

◆共産党、れいわ新選組が「反対」

 自民、公明両党や、立憲民主党、日本維新の会など一部野党が賛成。共産党、れいわ新選組は反対した。立民会派に所属する社民党議員2人は退席した。  木原稔防衛相は10日の記者会見で、統合作戦司令部の意義について「同盟国・同志国の司令部との情報共有や運用面での協力を一元化できる」などと話した。  9日の参院外交防衛委員会では、共産の山添拓氏が自衛隊による米国製巡航ミサイル「トマホーク」などの運用に関し、「米国の情報に基づいて攻撃した場合、自衛のための必要最小限度の実力行使を超えない保証はあるのか」と追及。だが木原氏は、「自衛隊の活動は日本の主体的な判断で行い、憲法の範囲内で行使される」と従来の答弁を繰り返すだけだった。

自衛隊の戦闘機(資料写真)

 統合作戦司令部は2024年度末、東京・市谷の防衛省施設内に240人規模で設置予定。従来は有事の際に統合部隊を設置して対処する方針だったが、平時から統合部隊の運用計画策定や訓練を重ね、米軍との協力も深める。4月の日米首脳会談でも両国の指揮・統制枠組みの見直しで合意した。 

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