政治資金規正法の改正をめぐり、自民党はパーティー券の購入者を公開する基準額などについて公明党と折り合えなかったことから、党として法案を作成し、15日、実務者による協議で公明党に示しました。

法案ではパーティー券の購入者を公開する基準額について、現在の「20万円を超える」から「10万円を超える」に引き下げるとしています。

また党から議員に支給される「政策活動費」の透明性を向上させる具体策については、先にまとめた与党案の概要に沿う形で、支給を受けた議員が項目ごとに党に使いみちを報告し、党が収支報告書に記載するなどとしています。

そして、自民党は法案の提出に向けて党内の手続きに入ることを公明党に伝えました。

パーティー券の購入者を公開する基準額について公明党が「5万円を超える」とするよう主張している中、自民党は今の国会で法改正を実現するには時間も限られているとして、調整がつかなければ週内にも単独で法案を提出する方針です。

公明 中野洋昌氏「基準額『5万円超』党の考えは変わらず」

実務者協議の公明党のメンバー、中野洋昌氏は記者団に「パーティー券の購入者を公開する基準額を『5万円超』とする党の考えは変わっていない。現段階では一致していない点があり、法案を共同提出するのはなかなか難しい。幅広い合意形成に向けて野党も含めた協議でさらに中身を詰めていくべきだ」と述べました。

公明 山口代表「今国会中に規正法の改正実現を」

これに先立ち、公明党の山口代表は党の参議院議員総会で「与野党でできるだけ幅広い合意形成を図っていくことが立法府の基本的なあり方だ。あらゆる対話の機会を生かしながら、今の国会中に政治資金規正法の改正が実現するよう努力していきたい」と述べました。

立民 安住国対委員長 「責任を持って与党の法案出すべき」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、党の会合で「自民党と公明党の溝は埋まらないのではないか。両党は連立を組んでから25年間、どの法案でも『まずは自公で』と言ってきたのに、政治改革の法案だけ『野党の話も聞こう』などと、こんな虫のいい話はない。責任を持って与党の法案を出すべきだが、だらだらしており、改革する気はないのかと思わざるをえない。厳しい姿勢で臨む」と述べました。

一方、政治資金規正法の改正をめぐる国民民主党との協議について、「共同で提出できる部分を法案化する作業を急いで始め、早急に対応する」と述べました。

維新 馬場代表「きちんと改革やらなければ国民の鉄ついも」

日本維新の会の馬場代表は、党の会合で「自民党が起こした事件であり、自民党がいちばん厳しい改革案を出してくるのが順当だが、抜け道を感じさせる案しか出してきていない。われわれの考え方に基づいた議論には応じていくが、事前に与党側とこそこそ話をして、落としどころを決めるようなことはしない。きちんと改革をやらなければ、国民の鉄ついがくだることは自明の理だ」と述べました。

そのうえで、「旧『文書通信交通滞在費』についても、使途の公開などをやらなければ、次の衆議院選挙の大きな争点になる。自民党の出方を見たい」と述べました。

共産 田村委員長「本丸は企業・団体献金の禁止」

共産党の田村委員長は記者会見で「政治改革の本丸は企業・団体献金の禁止だ。自民党は、与党案の議論の中で、本丸の議論を封じ込めようとしている。『裏金事件』の温床になったのは、政治資金パーティーであり、パーティー券購入という実態としての企業・団体献金を禁止することを求めていくことが必要だ。潔く本丸に向かうべきだと突きつけていきたい」と述べました。

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