政府は15日、特定秘密保護法の運用状況を有識者が議論する「情報保全諮問会議」(座長・老川祥一読売新聞グループ本社会長)を首相官邸で開き、2023年分の特定秘密の指定や解除などに関する国会報告案について協議した。会議の意見を踏まえ、政府は報告書を6月中旬にも閣議決定し、国会に提出する。

◆外交・防衛から「経済」にも秘密の範囲が拡大していく

情報保全諮問会議であいさつする岸田首相(中央)。左は高市早苗経済安保担当相、右は座長の老川祥一・読売新聞グループ本社会長=千葉一成撮影

 岸田文雄首相は施行から10年となる同法に関し「関係国と質の高い情報交換が行えるようになった」と評価。防衛省で4月に明らかになった特定秘密の漏えい事案にも言及し、「積み上げてきた信頼を損なう由々しき事態だ」と再発防止に努める考えを示した。  特定秘密保護法は外交や防衛など4分野の情報が対象。内閣情報調査室によると、23年末までに指定された特定秘密は751件あった。同年中に53件が新たに指定され、4件が解除された。  経済安保上の機密情報を保全する重要経済安保情報保護法が今国会で成立したのに伴い、政府は今後、特定秘密の適用対象を経済分野にも事実上広げる。(近藤統義) 

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