刑事裁判で有罪が確定した後、裁判をやり直す再審制度のあり方を検討する超党派の議員連盟の会合が16日にあり、近年、再審に関する法改正をした台湾の尤美女弁護士が講演した。国民の動きが改正の大きな原動力になったとして、「長い間議論を繰り返し、チャンスをとらえて一点突破した」と振り返った。

 議連は3月に与野党の議員で設立され、再審の手続きに関する規定が乏しいと指摘されている刑事訴訟法の見直しに向けた議論を重ねている。16日時点で、与野党の285人が参加している。

 尤弁護士によると、台湾では、複数の事件で再審無罪判決が出たことなどを受け、2014~19年にかけ、刑事訴訟法の再審に関する規定が改正された。現在、台湾の全国弁護士連合会理事長を務める尤弁護士も、当時は日本の国会議員にあたる立法委員として改正に大きな役割を果たした。

 尤弁護士によると、一連の改正を通じて、再審請求審が原則公開法廷で審理されるようになったほか、再審を申し立てることができる事由のうち「確実な新証拠が発見された場合」とされていた規定が「新事実または新証拠が発見された場合」とされて拡大するなど、手続きが大きく変化したという。

 尤弁護士は、台湾では弁護士や民間の団体が、再審のあり方をくりかえし議論し、改正案を国に提出するなどしたことが実際の法改正につながったと指摘。「日本でも弁護士や学者らが議論を重ねてきた。チャンスをとらえれば転機は訪れる」と述べた。

 この日会合には、議連の最高顧問に就く自民党の麻生太郎副総裁も出席した。(森下裕介)

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