岸田文雄首相(自民党総裁)は20日の衆院予算委員会で、自民党の清和政策研究会(安倍派)会長だった森喜朗元首相に派閥の政治資金問題に関する再聴取はしないと明言した。「具体的な関与は確認できなかった」と従来の答弁を繰り返した。野党は真相究明の取り組みが不十分だと批判した。

首相は「国民の議論を踏まえて、不記載の慣行がいつから始まったかなどを森元首相に直接うかがった」と述べた。「推測の域を超えて具体的な関与の確認はできていない。再聴取などは考えていない」と説明した。

森氏は4月26日配信の月刊誌「文芸春秋」電子版のインタビューで、首相から政治資金問題について具体的な質問はなかったと言明した。「体調はいかがですか」などと声をかけられたと明かした。

立憲民主党の野田佳彦元首相は森氏の発言を踏まえ「現首相と元首相のやり取りの受け止めが違えば政治への不信感をあおる」と改めて事情を聞くよう促した。再聴取をしないなら、森氏の国会への参考人招致が必要だと訴えた。

安倍派の政治資金収支報告書の不記載や議員への還流などを巡っては、森氏が経緯に詳しいとの見方が与野党に根強い。首相は4月4日、記者団に「私が直接電話をかける形で事情を聴いたが、具体的な関与は確認できなかった」と話していた。

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