自民党の茂木幹事長は台湾に関し「かけがえのない友人だ」と述べた

台北市で20日に開かれた台湾の与党・民主進歩党の頼清徳総統の就任式には日本の国会議員31人が出席した。積極的な議員外交で与党だけでなく、野党ともパイプを構築し、軍事的な威圧を強める中国に対峙する日台協力の土台を固める。

自民党の茂木敏充幹事長は20日、国会内で開いた党役員会で「台湾は自由、民主主義、法の支配といった基本的な価値観を共有する重要なパートナーであり、かけがえのない友人だ」と述べた。「関係をいっそう深めていきたい」と力説した。

日本は台湾と政府間の外交関係を持たない。原則として当局者同士の接触を控えており、議員外交の重要性が高い。米政府が1979年に成立した台湾関係法に基づき、非公式に台湾当局と直接対話するのとは異なる。

頼氏の就任式には、超党派の議員連盟「日華議員懇談会」(会長・古屋圭司氏)が中心となり31人の国会議員が参加した。頼氏は就任式で民主主義国と結束を深める考えを示した。

自民党は台湾野党にも目配りする。麻生太郎副総裁は5月中旬、最大野党・国民党の蔣万安・台北市長と面会した。台北市長の職は総統候補への登竜門と位置づけられる。初代総統の蔣介石氏のひ孫でもあり、長期的な関係づくりを狙った。

自民党の鈴木貴子青年局長が率いる議員団は4月末から台湾を訪問し、野党第2党・台湾民衆党の柯文哲・党主席に会った。青年局の議員団は2023年8月に柯氏と面会しており、若者の支持を得て急浮上する台湾民衆党との接点構築に力を入れる。

台湾の野党との対話を強めるのは、政策立案への野党の影響が増しているからだ。1月の立法委員(国会議員)選で民主進歩党の議席は過半数を割った。国民党も単独過半数を確保できず、多数派工作へ台湾民衆党の取り込みを両党が競う状況がある。

自民党の台湾政策検討プロジェクトチーム(PT)内には「中国寄りの姿勢が目立つ国民党との対話がとくに重要だ」との声がある。中国の脅威に対する認識を擦り合わせて、対中政策で足並みをそろえる環境を整える必要があるとの考えだ。

日華懇は米台議員とともに安全保障をめぐる3者の対面協議を目指している。佐々木紀事務局次長(自民)は5月上旬、記者団に「できれば台湾で速やかに開催したい」と語った。これまではオンラインで実施してきた。

米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が27年までに台湾侵攻能力を取得するよう中国軍に指示したと公言する。抑止力の強化に向けて防衛や経済分野で日米台の協力を深める必要性が高まっている。

林芳正官房長官は20日の記者会見で頼氏に祝意を示し「日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく」と発言した。

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