外国人労働者の「技能実習」に代わる在留資格「育成就労」制度の創設を盛り込んだ入管難民法の改正案が21日、衆院本会議で賛成多数で可決された。立憲民主党や共産党は反対した。近く参院へ送られる。今国会で成立すれば、公布から3年以内に施行される。

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 外国人労働者の受け入れをめぐって、1993年に始まった技能実習制度の「国際協力」の看板を下ろし、新たに「外国人材の育成と確保」を掲げることになる。

 技能実習制度は途上国に技術を伝えることを目的とし、理念として「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定めている。しかし、人手不足を背景に労働力の確保に利用されてきた実態がある。原則3年は職場の変更(転籍)ができず、来日前に多額の借金を抱えた実習生が劣悪な労働環境下で失踪し、深刻な問題となってきた。

 新たな育成就労制度では、1~2年の就労後に同一の分野内で転籍を可能にする。転籍を制限する期間は、今後、分野ごとに設定する。他国との「人材獲得競争」を意識し、長く働き続けられる道筋を明確化。育成就労の対象分野は、最長で5年就労できる「特定技能1号」とそろえる。熟練技能が必要な「特定技能2号」に移れば、家族帯同や無期限での就労も可能となり、将来的な永住も視野に入る。

 永住者の増加が見込まれることを踏まえ、税金や社会保険料を故意に支払わない場合や、住居侵入や傷害など一定の罪を犯した場合に永住許可を取り消せるようにする規定も設けた。

 これに対し国会では野党から「税金の未納にはすでにペナルティーがある。日本人も外国人も同じように対応すべきだ」などと批判が相次いだ。政府は病気や収入減などやむを得ない場合は取り消しの対象にならないと強調。自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党が修正合意した付則には、取り消しの検討にあたり、対象となる外国人の生活状況に「十分に配慮する」との文言が盛り込まれた。(久保田一道)

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