経済安全保障上の機密情報を扱う民間事業者らを身辺調査するセキュリティー・クリアランス(適性評価)制度の導入を柱とした「重要経済安保情報保護法案」が9日にも衆院本会議で採決される見込みとなり、「秘密の範囲が広がる」などと法案に反対する市民らが8日、各地で抗議の声を上げた。

重要経済安保情報保護法案などに反対して声を上げる参加者ら=8日、東京・永田町で

 東京・永田町の衆院第2議員会館前では市民団体のメンバーら24人が「市民の知る権利を守ろう」「経済情報を秘密にするな」などとシュプレヒコールを上げた。海渡雄一弁護士は「特定秘密保護法は四つ(外交、防衛、テロ、スパイ活動)の項目に限定されていたが、経済活動にも秘密保護を著しく拡大する。悪法が卵からかえり、日本の空を黒雲で覆う恐ろしいものになる可能性が高い」と訴えた。  NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、国会内の講演で「法案には公共的な役務という概念があるが何を指すか分からない。法律の範囲を決める重要な情報だ」と述べ、丁寧な説明を求めた。  学者ら文化人らでつくる「世界平和アピール七人委員会」は、法案を「科学者・技術者の思想差別、研究の自由の抑圧につながり、多くの国民に監視と選別の網をかける」と批判。「戦争ができる体制を下支えすべく、個々人の自由と人々の権利を制限する社会傾向が強まっている。法案はそれを大きく推し進め、安全保障の名の下に民主主義を危うくする」と廃案を求める声明を出した。(山口登史) 

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