広島県の湯崎英彦知事は21日の記者会見で、14日の米国による未臨界核実験を静観する日本政府の姿勢に対して「日本政府が看過することになれば、ロシアや中国、北朝鮮がさらなる核実験と核抑止力を強化する口実になる。厳重に抗議してほしい」と批判した。

 さらに、戦争被爆国として被爆者や遺族の思いを受け止めるべきだとして「核兵器廃絶に向けたステップを着実に前進させるため、政府としてどういう対応をすべきかという視点で判断してほしい」と述べた。

 昨年5月に広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は「核兵器のない世界」を目標として再確認した「広島ビジョン」を採択した。湯崎知事は「広島ビジョンとは逆行する。アメリカ政府に大きく失望する。核兵器廃絶に向けて一歩でも前進するよう国際社会の模範となってもらえるよう強く求めたい」と話した。

 広島ビジョンは核軍縮をうたう一方で、「防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、戦争及び威圧を防止」するとしてG7構成国の核兵器保有を容認し、核抑止論を正当化している。(柳川迅)

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