岸田文雄首相は22日、米金融大手モルガン・スタンレーが都内で開いた投資家向けのイベントで講演した。政府が創設する「金融・資産運用特区」について「6月上旬に特区のパッケージを公表する」と語った。

米モルガン・スタンレーが開いた投資家向けのイベントで講演する岸田首相(22日、東京都港区)

候補になる北海道、東京、大阪、福岡の4都市の首長と近く首相官邸で会う予定を明かし「構想を具体化する」と言明した。

企業の年金基金などのアセットオーナー(資金の出し手)に関する行動規範を夏に策定すると触れた。

その後に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済組合など公的9主体について「運用力強化に向けた取り組み方針」を速やかに公表すると話した。

首相は「資産運用立国を重要施策として強力に推進する」と説明した。日経平均株価の最高値更新などを挙げ「動き出したインベストメント・チェーン(投資の連鎖)を強固なものとするべく金融資本市場改革をさらに実行する」と訴えた。

モルガン・スタンレーのアジア地域の最高経営責任者(CEO)、ゴクール・ラロイア氏は首相の講演に先立ち、日本経済新聞の取材に答えた。日本の市場について「資産運用会社にとっても魅力的な機会だ」との認識を示した。

日本の資産運用会社は海外に比べて「数が多く、十分な資産を運用できていない」と指摘した。

首相の掲げる資産運用立国の施策は「実現に時間がかかる」と言及した。海外投資家から国内市場に注目が集まっており「市場がリターンをもたらし続ければ、運用業界の成長につながる」と述べた。

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