東北大学の日出間純准教授らは、イネ科の植物が紫外線でダメージを受けたDNAを修復する仕組みを解明した。酵素の状態を変化させ、光合成を担う葉緑体に送っていた。他の植物にはみられない仕組みといい、応用すれば宇宙空間のような紫外線の強い環境でも栽培できる植物の開発につながるとみている。
太陽光に含まれる紫外線は生物のDNAを傷つけ、人が浴びすぎると皮膚がんの要因になる。植物では生育不順を引き起こすため、DNAを持つミトコンドリアや細胞核などに酵素を送って修復する。イネやコムギ、トウモロコシなどのイネ科植物は、独自のDNAを持つ葉緑体にも酵素を送ることが分かっている。ただ、どのように輸送しているのかなど詳しい仕組みは不明だった。
研究チームは酵素を部分的に合成して、輸送を担う部位を特定した。輸送の仕組みを詳しく調べたところ、酵素の特定の場所についたリン酸が外れると小胞体という構造を経由し、葉緑体に移動することが分かった。シロイヌナズナなどイネ科以外の植物ではこうした仕組みはみられない。
イネ科植物の葉緑体は他の植物よりも数倍大きく、光合成でつくった糖分を一時的にとどめやすい。このため、でんぷんなどを多く含む種子を作りやすくなっている。
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