《速報中》

午前9時

対局始まる 伊藤七段が先手

将棋の八大タイトルの1つ、「叡王戦」五番勝負の第4局は、千葉県柏市が会場です。午前8時50分ごろ、茶色の和服に身を包んだ藤井聡太八冠(21)が先に対局室に入ると、程なくして、白の和服を着た挑戦者の伊藤匠七段(21)が盤の前に座り、駒を並べました。そして午前9時、伊藤七段の先手で対局が始まりました。

ここまでの勝敗は?

「叡王戦」五番勝負は、ここまで伊藤七段が2勝、藤井八冠が1勝で、伊藤七段がタイトル奪取に王手をかけています。

去年、史上初の八大タイトル独占を果たした藤井八冠はこれまで臨んだタイトル戦をいずれも制し、ことしに入っても「王将」、「棋王」、「名人」を相次いで防衛していますが、「叡王戦」では初めて先に「角番」に追い込まれています。

一方、伊藤七段は藤井八冠と同い年で、2020年にプロ棋士となりました。

去年は竜王戦、ことしは棋王戦で藤井八冠に挑戦しましたがいずれも白星を挙げられずに敗れ、今回初めてのタイトル獲得を目指します。

第4局は夜に勝敗が決まる見通しです。

30日 前夜祭では2人が意気込み語る

30日に行われた前夜祭では藤井八冠と伊藤七段がそれぞれ意気込みを語りました。

藤井八冠
「スコア的には追い込まれて苦しい状況ではありますが、しっかり集中して最後まで楽しんでいただける熱戦にできるよう全力を尽くしたい」

伊藤七段
「シリーズとしては佳境と言える1局かなと思いますが、自分としては久々の大きい舞台での対局です。熱戦をお見せしたい」

藤井八冠 今年度5勝3敗「ミス出てる」

藤井八冠の今年度の成績は、ここまで5勝3敗、勝率は6割2分5厘となっています。

今月27日に行われた「名人」防衛後の記者会見では、「あまり対局の結果も内容もよくなくて、2か月ほどはミスが少なからず出てしまっています」とした上で、「要因ははっきりと分からないですが、少し読みの精度が下がってしまっていることがあって、それがミスにつながっています。これまで経験の少ない局面での判断力がまだ十分ではないのかなと思います」と話していました。

挑戦者 伊藤匠七段とは

挑戦者の伊藤匠七段(21)は、東京・世田谷区出身。小学5年生のときに日本将棋連盟の棋士養成機関「奨励会」に入り、2020年に17歳で四段に昇段してプロ棋士となりました。藤井八冠より4年遅れてのプロデビューとなりましたが、2021年度には棋士の中で勝率1位となるなど活躍を見せます。

伊藤七段の得意の戦法は互いに飛車先の歩を進めて戦う「相掛かり」です。AIを使った序盤戦の研究にも熱心で、去年10月に開幕した「竜王戦」七番勝負で初めてのタイトル戦に登場し、藤井八冠に挑みました。

結果は4連敗でタイトルは奪取できませんでしたが、ことし2月に始まった「棋王戦」五番勝負でも再び藤井八冠に挑戦。第1局は、互いの「玉」が詰む見込みがなくなる「持将棋」に持ち込み異例の引き分けとなりましたがその後3連敗して初のタイトルには届きませんでした。そして先月からは3度目のタイトル戦となる「叡王戦」五番勝負で藤井八冠に挑んでいます。

谷川浩司十七世名人「名勝負を期待」

第2局で立会人を務めた谷川浩司十七世名人は、伊藤七段について「竜王戦、棋王戦、叡王戦とこの半年間で3つのタイトル戦で挑戦者になっているので、藤井さんを追いかける現状は1番手と言っていいと思います」と評価した上で、「叡王戦」での戦いについて「1つ勝つまでは大変ですが、1局勝てば勝負事というのは大きく流れが変わります。AIの形勢の評価だけを見ると藤井さんの方に数字を落とした手がいくつかありましたが、第2局も第3局も非常に選択肢の多い局面が続きましたし、終盤になればなるほど1手のミスで大きくガラッと変わります。圧倒的な終盤の強さを誇る藤井さんに競り勝った伊藤さんの終盤力というのがとても大きかったと思います」と話していました。

そのうえで、小学生時代からお互いをよく知る2人の関係性について次のように話しました。

谷川浩司十七世名人
「第2局の感想戦をすぐそばで見ていましたが、特に藤井さんがとても楽しそうでした。小学生のころからしのぎを削り、感想戦でも2人だけの世界が築かれていて、藤井さんとしても伊藤さんの出現をある意味待ち望んでいたという気がしました。タイトル戦の同一カードの記録は羽生さんと私の22回ですが、2人はもう20年ぐらいは戦い続けると思うので、私たちの記録を超えてくれると思っています。お互い1分将棋の最後までどちらが勝つか分からない名勝負を期待しています」

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