量子関連の寄付研究部門設置で東海機構と名古屋市が協定を結んだ(31日、名古屋市)

名古屋大学と岐阜大学を運営する東海国立大学機構は5月31日、量子研究の新部門設置で名古屋市と協定を結んだ。市が1億2000万円を寄付し、企業との共同研究や産業への波及効果に関する調査などを支援する。名古屋市を中心とする中部圏で量子技術による産業創出をめざす。

量子は物質やエネルギーの微小な単位で、その特殊な性質を利用した量子技術はイノベーションにつながるとの期待がある。量子コンピューターなど多くの分野で産業への応用をめざした研究が進んでいる。名古屋大は量子化学の拠点となっており、材料や電子機器、医療分野で量子技術の社会実装をめざす。

「名古屋市量子産業創出寄付研究部門」は名古屋大に新たに設置する。期間は6月1日から2027年3月末までで、市が24〜26年度に年間4000万円、計1億2000万円を寄付する。化学や半導体、医療分野の専門家を特任教授や特任准教授として置く。企業との共同研究や波及効果に関する調査のほか、企業向けの相談窓口も開設する。

東海機構の松尾清一機構長は5月31日の締結式で「量子技術は今後飛躍的に進化して世界を一変させる。東海機構は化学を中心に(量子技術を)扱う国内唯一の拠点だ。製造業が集積するこの地域における重要性は極めて大きい」と強調した。「(寄付をした名古屋市の)河村たかし市長の先見の明と英断に深く敬意を表する」と話した。

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