光や音の刺激が苦手な人たちが落ち着いて過ごせる「センサリールーム」が、病気の子どもに付き添う家族のための滞在施設ドナルド・マクドナルド・ハウスさっぽろ(札幌市手稲区)に設けられ、3日にお披露目の式典があった。
マクドナルド・ハウスさっぽろは、北海道内唯一の小児高度医療を専門とする道立子ども総合医療・療育センター(愛称・コドモックル)に隣接している。患者や付き添いの家族が1人1日1千円(税込み)で利用できる滞在施設。道内各地からコドモックルを訪れる人たちの経済的、心理的な支えになっている。2008年12月に開設され、23年末までに延べ7050家族が利用してきた。
「とても敏感な人」を意味するHSP(Highly Sensitive Person)や発達障害では、感覚過敏の症状にも悩んでいる人も少なくない。視覚や聴覚が敏感なため、光や音の刺激が苦手とされている。その刺激をマイルドに調整でき、心地よい空間を提供する施設は1970年代にオランダで始まり、「スヌーズレン」とも呼ばれる。欧州で広がり、北米やアジアにも浸透してきている。
今回整備されたのは、マクドナルド・ハウスの建物内の倉庫(約5平方メートル)を改装。コドモックルの医師や理学療法士の助言を受けながら、電機大手パナソニックの照明や配線器具などの電気設備を扱う事業部門が「五感をくすぐる秘密基地」のコンセプトで設計、製作を進めた。
照度を落とした室内には、触って遊べる光ファイバーの束や、透明な円柱の中に泡がわき出す装置を置いてリラックスして過ごせるようにした。450万円と見積もられた費用は、クラウドファンディングで募集し、2023年7月25日から2カ月足らずで、427人から516万2千円を集めた。
センサリールームは、マクドナルドハウスさっぽろに滞在する家族やコドモックルに入院中の子どもらを対象に利用を始め、将来はコドモックルの外来患者へも広げることをめざしている。
ドナルド・マクドナルド・ハウスは全国に12カ所あり、公益財団法人「ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」(東京都新宿区)や、各ハウスへの寄付で成り立っており、全国で約2千人のボランティアが運営を支えている。(松田昌也)
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