TSMCの株主総会に出席した魏哲家氏(4日、台湾北部・新竹)

【新竹(台湾北部)=龍元秀明】半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は4日、定時株主総会後の取締役会で魏哲家氏を董事長(会長)に選出した。魏氏は記者会見を開き、熊本工場に関し「まず第1、第2工場を成功させる」と語った。

TSMCはカリスマ創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏が2018年に引退後、前董事長の劉徳音氏と魏最高経営責任者(CEO)が協力して経営する「2トップ体制」を敷いた。今後は魏氏が董事長兼CEOとして、各国政府との折衝なども担う。

TSMCの熊本第1工場は24年10〜12月期の量産開始を目指し、第2工場は年内に着工する予定だ。魏氏はまず地元との関係構築を優先するとしたうえで「賛同が得られれば(次の)新工場も検討するかもしれない」と含みを持たせた。

建設遅れが課題となる米アリゾナ州の工場に関しては「コストは台湾と比較にならないが、現地の同業と比べれば、将来はよい利益を出すことができる」と話した。最先端品の量産はまず台湾で始める方針を続けるとも説明した。

急拡大する人工知能(AI)向けの需要について、今後ますます技術の普及が進むとの認識を示した。「今のところ、AI半導体のすべてをTSMCが生産している」と述べ、自社の優位性を強調した。

中台関係の緊張が続いていることを巡っては、TSMCの生産能力の8〜9割が台湾にあるとして、海外への移転は不可能だと言及した。「両岸(中台)の安定は非常に重要だ」と訴えた。

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