名古屋大学などの研究グループは、火山から出るセ氏400度未満の温度が比較的低いガスの量を測る手法を開発した。長野、岐阜県境の御嶽山や、温泉地で知られる草津や箱根で噴火を繰り返す火山の活動を正確に評価できる。住民の避難に関わる噴火警戒レベルの判断などに役立つ。
名大大学院に在籍する修士課程2年生の宮木裕崇さんや角皆潤教授が産業技術総合研究所と開発した。地面から垂直に伸びる長さ約9メートルのさおに付けた複数のセンサーを使い、火山から出る噴煙を捉える。温度が比較的低い火山ガスの主成分である硫化水素の濃度の分布を推定し、風の向きや速さも考慮して放出量を算出する。
従来の観測では高温の火山ガスが豊富に含む二酸化硫黄(SO2)を遠くから測る手法が一般的だ。SO2が特定の波長の光を強く吸収する性質を利用して濃度を調べる。だがマグマが地下水を温めて起きる水蒸気噴火で出る低温のガスにはSO2が少なく、測定しにくかった。新しい手法はセンサーの配置を工夫してガスの濃度を直接測る。装置を火山に設置して性能を確かめた。
装置はドローン(小型無人機)でも運べる。ドローンに積む試作機を開発中で、2024年度中に実験する。高温ガスを調べる従来の手法と組み合わせれば、幅広い種類の火山を調査できる。住民の避難に関わる噴火警戒レベルの判断や、上空から温泉の状態を把握して湯量の増減を調べる用途に使う。
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