覚書を手にするESRのギブソン社長㊨と熊本県の木村 敬知事㊧(12日、熊本市)

香港系の物流不動産大手ESR(東京・港)は12日、八代港周辺など熊本県八代市の物流拠点構想推進に向け、県や同市と覚書を締結した。ESRの物流ネットワークやノウハウと八代港などの物流機能を組み合わせ、アジアと熊本や九州を結ぶ玄関口を目指す。

覚書には、八代港の利活用促進に向けた物流拠点の整備や企業誘致などについて検討していくことを盛り込んだ。ESRのスチュアート・ギブソン社長は今後10〜15年で八代など県南エリアで10億ドル(約1570億円)規模の投資をする可能性があるとし「(半導体受託生産世界最大手の)TSMC(台湾積体電路製造)の進出もあり、半導体で日本は競争力を取り戻している」と話した。

ESRグループは本社を香港に置き、アジア太平洋地域をはじめ世界各地で、物流施設やデータセンターを中心に投資やファンドマネジメント、開発などを手掛けている。2023年末時点の運用資産残高は1561億米ドル(約24兆円)に上り、展開する施設の延べ床面積は4880万㎡に達するという。

熊本県と八代市がESRと連携して利用促進を目指す八代港(同県八代市)

日本では首都圏や近畿圏、九州などで物流施設やデータセンターなどを開発・運営している。国内ではこれまでに33棟の物流施設が竣工している。

熊本県菊陽町でTSMCの国内第1工場が開所する一方、同工場から離れた八代などの県南エリアには経済効果があまり及んでいないとの見方もある。県や八代市は今回の連携により、港湾などの物流機能の活用を進め「南北格差」是正につなげたい考えだ。

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