NECは将来に実用化が見込まれる宇宙データセンター向けの冷却装置を開発した。人工衛星に搭載するコンピューターを冷やす。災害対策や安全保障の観点から衛星で撮影した画像を宇宙で処理する需要が高まる。同社は排熱対策で衛星搭載用の冷却装置が必要になるとみており、2030年ごろ以降のサービス開始を目指す。
衛星搭載用の冷却装置を開発したのはNECが初めてという。液体にコンピューターなどの機器を浸す「液浸」の冷却装置を開発した。宇宙の真空条件下では空気の対流が起きず、排熱が難しい。液体に浸すことで機器を冷却する。
液体が放射線を隠蔽するため、宇宙線などの放射線から保護することも可能になる。液体は振動からも機器を保護するため、打ち上げ時における振動の影響も受けにくくなる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは衛星画像を人工知能(AI)で処理して必要なデータのみを地上に戻す「宇宙データセンター」の実現を目指している。AIのデータ処理で演算能力が高い画像処理半導体(GPU)が搭載されることになれば、発熱量の増大が懸念される。
NECは14日まで千葉市の幕張メッセで開かれているICT(情報通信技術)分野の総合展示会「Interop Tokyo 2024」に同装置を出展した。
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