開発したイオン交換膜は窒化シリコンの膜に微細な穴が空いている=筒井准教授提供

大阪大学の筒井真楠准教授らは東京大学などと共同で、通過するイオンの種類を切り替えられるイオン交換膜を開発した。膜に電圧を加えて通過する穴の電気的な性質を正と負で切り替え、交換するイオンの種類を変える。海水の淡水化や塩分濃度差発電での利用を目指す。

新しいイオン交換膜は厚さ80ナノ(ナノは10億分の1)メートルで、直径60ナノメートルの穴が開いている。膜は窒化シリコン製で、表面や穴の内側が電極で覆われており、電圧の変化に応じて穴の内側の電気的性質が正や負に切り替わる。例えば穴の内側が負に帯電しているときは、正の電荷を持つ陽イオンだけを選択的に通せた。

通常のイオン交換膜は通過するイオンを選別するために10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル以上の厚さが必要で、イオンの通過に時間がかかった。新しいイオン交換膜は通過するイオンを選別する能力を維持したまま薄くしたので、短時間で液体を処理できるという。

筒井准教授は「イオンが通りやすい薄い膜で、高いイオン選択性を維持できた」と話す。海水の淡水化や、淡水化に伴い発生する塩分濃度が高い海水を活用した塩分濃度差発電への応用が期待される。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。