南海トラフ地震の想定震源域のうち海底観測網の「空白域」になっていた高知~宮崎沖で、新たな観測網「N―net」の試験運用が7月1日から始まる。本格運用後は、沖合の地震が最大20秒、津波は同20分、検知が速まるという。文部科学省と防災科学技術研究所が18日、発表した。
N―netは、海底ケーブルなどを使った2本の観測網で、高知県沖から宮崎県沖にかけて設置される。まず沖合側(全長約900キロ)の1本の敷設作業が終わり、7月から運用を始める。沿岸側(全長約740キロ)も今年度中に完成し、来年4月にも試験運用を始めるという。整備費用は総額175億円。
地震や津波を海底で観測することで、地上での観測より速く検知できるようになる。こうした観測網は、静岡県沖の気象庁のシステムや、三重県沖から高知県東部沖にかけて防災科研が運用する「DONET」が整備されてきた。N―netの完成で、南海トラフ震源域での空白域が解消されることになる。
観測データはすでに気象庁にも共有されており、本格運用後は緊急地震速報や津波情報にも活用される予定だ。
防災科研の青井真・地震津波火山ネットワークセンター長は「いつ起こるかわからない南海トラフ地震に間に合わせるよう整備を急ぎたい」と話している。(竹野内崇宏)
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