ライオンが2015年以降に回収した使用済み歯ブラシが累計で約174万本(約22トン)に達した。民間企業や自治体と連携し、回収した歯ブラシは植木鉢や定規などに再生している。今後は自治体と連携した取り組みを拡大し、歯ブラシのリサイクル事業の認知度を高めたい考えだ。
同社は15年からリサイクル事業を手がけるテラサイクルジャパン(横浜市)と提携し、個人や団体が使用済み歯ブラシ回収に参加する「ハブラシ・リサイクルプログラム」を進めている。
アカウント登録した個人や団体が回収ボックスなどを設置し、集まった歯ブラシの重量に応じてポイントを得る仕組み。ポイントを使って、歯ブラシからリサイクルした植木鉢などのプラスチック製品と交換などができる。
現在の登録回収拠点は全国1448カ所に上り、約163万本(約20トン)の使用済み歯ブラシを回収してきたという。
20年からは自治体と連携し、約10.5万本(1.3トン)の使用済み歯ブラシを回収した。
東京都墨田区と板橋区、台東区とそれぞれ協定を結び、庁舎や公立小学校などに回収拠点を設けてきた。台東区では、区内のユニクロ2店舗にも回収ボックスを設置している。
回収した歯ブラシは、自治体ごとに異なる製品にリサイクルしている。板橋区では手鏡、墨田区では定規などに再生して回収に協力した人に配布している。
歯ブラシがリサイクルできることを知らない消費者は少なくない。国内では年間で約4億5000万本の歯ブラシが消費されているが、資源として再利用されているものは一部にとどまる。
ライオンは歯ブラシのリサイクルがより身近な習慣となるよう自治体と連携した取り組みを拡大し、消費者の認知度を高める方針だ。回収した歯ブラシのリサイクル技術の開発を進め、自社製品の容器の一部に再生することも検討している。
同社は、50年までに石油由来のプラスチック使用率を70%以下にする目標を掲げる。20年には花王とプラスチック包装容器の再生に向けた連携を始め、21年からは神戸市が主導する詰め替えパックのリサイクル事業にも参加している。
23年5月には花王と共同で回収した使用済み詰め替えパックを、新しい詰め替えパックの一部に再生した製品を数量限定で発売した。
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