周期表の1番目にあり、最も軽い元素として知られ、宇宙の中に最もたくさん存在する水素。急に注目を浴びているようだが、そもそも何なのか。

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 水素は、気球や飛行船の浮揚用のガスや液体ロケット燃料のほか、肥料(アンモニア)の製造など、産業界ですでに広く活用されている。そのまま燃やして活用できるほか、燃料電池を通して発電もできるので、次世代のエネルギー源として大きな期待がかかっている。

燃料電池の仕組み

 もともと1766年に英国の化学者が「燃える気体」として水素を取り出すことに成功。酸素と反応させて電気を得る「燃料電池」についても、1801年には原理が発表されている。

 国内では2009年、パナソニックが世界で初めて家庭用燃料電池の販売を始めた。天然ガスと水から取り出した「水素」と、空気中の「酸素」を反応させて発電し、発生した熱で湯を沸かすシステムだ。

 さらに14年にはトヨタが燃料電池車(FCV)「ミライ」を販売。発電した電気を使い、モーターで駆動する。東京を中心に、FCVのバスも導入の広がりを見せている。

燃料電池を積んだ町の公用車が水素を入れていた=2023年9月、北海道鹿追町、鈴木智之撮影

 燃料電池を使った乗り物ではほかに、国内でも鉄道や船舶で実証が進んでいる。自動車では、燃料電池ではなく、水素を燃やして、燃料の代わりに使う水素エンジンも開発されている。

 乗り物とは別に、水素を燃やして得られた熱を調理に使う試みも始まっている。電気では出しにくい高熱が必要になる鉄鋼や化学産業などへの利用拡大も期待されている。

 ただし、課題もある。例えば水素のつくり方だ。水を電気分解する製造法が主流となっており、再生可能エネルギーで得られた電力を用いるのが理想的。だが、まだまだコストが高く、化石燃料由来の電力を使うことが多いのが現状だ。(鈴木智之)

水素の種類
ドイツで営業運行する「水素電車」。見た目は車内外ともに普通の列車とあまり変わらない=3月、ブクステフーデ、鈴木智之撮影

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