名古屋大大学院の研究チームは、怒りの感情を紙に書き、丸めてごみ箱に捨てたり、シュレッダーで裁断したりすることで、怒りが静まるという実験結果を発表した。研究チームの川合伸幸教授は「簡単で効果的な手法。職場や家庭で活用してほしい」と呼び掛けた。論文は17日までに、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
実験はまず、被験者に書かせた文章にわざと低い評価を与え、怒りの感情を生じさせた。次に、その状況をなるべく客観的に紙に書いてもらい、(1)その紙を丸めてゴミ箱に捨てる(2)シュレッダーで裁断する(3)紙を箱にしまうだけ―の3グループに分け、感情の変化を調べた。
被験者は「怒った」や「いら立った」などの項目に対し、「まったく当てはまらない」から「非常によく当てはまる」まで6段階で回答し、感情を「怒りの得点」として数値化。実験開始時、低評価で怒りを感じた時点、実験終了前の計3回測定した。
その結果、紙を丸めてごみ箱に捨てたグループでは、「得点」は怒りを感じた時点と比べ、1.47ポイント低下。実験開始時と同程度まで下がった。裁断したグループでも、1.16ポイント低下した。一方、紙をしまうだけのグループでは0.81―0.49ポイントしか下がらなかった。
川合教授によると、怒りを抑制する研究は1980年代から始まったが、実用的な方法は見つかっていなかった。川合教授は「実験開始時と同程度まで下がるとは思わなかった。パソコンの文章ファイルをごみ箱に入れ、『ごみ箱を空にする』操作でも効果が得られるか検証する必要がある」と話している。
名古屋大の豊田講堂=名古屋市
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