福岡工業大学の宮元展義准教授らは東京大学と共同で、用途に合わせて微細な繊維「ナノファイバー」を合成する手法を開発した。機能や長さなどを自在に変えられ、様々な用途に使える。触媒やプラスチックの強化剤向けに応用を目指す。

膜が層のように重なり、数百ナノメートルほどの繊維になっている=宮元准教授提供

正の電荷を持つ物質と、負の電荷を持つ一辺が数十ナノ(ナノは10億分の1)メートル、厚さが0.65ナノメートルの膜が均一に分散した溶液を濃縮した。正の電荷を持つ物質が膜同士をつないで膜が層状に重なり、長さが数十〜数百ナノメートルのナノファイバーができた。

物質や膜の組み合わせで繊維の機能が変わる。例えば蛍光物質を使うと光るナノファイバーになった。溶液の濃度を薄めると膜が分散した状態に戻るため、繊維の長さの調整もできる。

電池の材料に使うカーボンナノファイバーなどの合成には大量のエネルギーを使い、分解やリサイクルも難しい。今回の技術で作ったナノファイバーは特定の条件を整えれば分解が容易で、再利用しやすいという。宮元准教授は「安定性を高める研究などを進める」と話す。

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