南米原産の大型ネズミで、農業被害をもたらす特定外来生物のヌートリア1匹が20日、松山市の離島・中島で捕獲された。ヌートリアは中国・近畿地方など広い範囲で分布が拡大しているが、愛媛県内での捕獲は初めてという。

 県内では2016年以降、3件のヌートリアらしい目撃例などが報告されていたが、特定には至っていなかった。今年5月31日に中島沖で泳いでいる動物を市民が撮影、今月4日に県衛生環境研究所生物多様性センターがヌートリアだと確認したばかりだった。広島・岡山方面から瀬戸内海を泳いできた可能性が高いとみられる。

 市によると、捕獲されたヌートリアは胴の長さが35センチ、尾は34センチ。性別は不明。同市小浜の草むらで近くの市民が発見して押さえ込み、市職員が回収して県生物多様性センターがヌートリアだと確認した。

 ヌートリアは水辺に生息し、居着いたら天敵がいないため繁殖するおそれが強いといい、農作物への被害のほか、穴を掘って巣をつくる習性から堤防の破壊も懸念されている。市では繁殖していないかさらに他の個体を探すといい、引き続き市民に情報提供を求める。

 ヌートリアは草食だが長い前歯を持ち、かまれるとけがをする可能性があるという。県生物多様性センターは「見つけたら近寄らず、写真や動画を撮って情報提供してほしい」と呼びかけている。(戸田拓)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。