中国のスマートフォンメーカー「小米科技(シャオミ)」が日本市場の開拓に本腰を入れ始めた。現在、日本でのシェアは数%にとどまるが、将来的には基本ソフト(OS)にアンドロイドを使うメーカーの中で上位3位を狙う。5月には中核となるフラッグシップモデルも日本に投入し、品ぞろえを拡充した。日本法人の社長に就任した大沼彰氏に、シャオミの戦略を聞いた。
- 「日本製」が意味持つ時代は終わった 快進撃シャオミの流儀
――昨年9月に続き、今年5月にも大々的な発表会を開きました。シャオミとしての日本市場の位置づけは。
「本社のある中国市場ではハイエンドのスマホが受け入れられていますが、日本も同じようにハイエンドを受け入れられる市場であると考えます。日本はもちろん、大きな市場と捉えています。シャオミはグローバルではトップ3のメーカーであり、日本でも同じくらいの存在感を出したい。そうならないと、理屈としておかしいですよね」
――日本市場は米アップルの「iPhone」が市場の半分を占めているほか、アンドロイド端末でも米グーグルなど、海外メーカーが攻勢をかけてきています。
「アップルやグーグルと違うところを我々は持っているという自信があります。他社のスマホを使っている方にも、クールな会社でありたい。我々の特徴の一つであるIoT(モノのインターネット化)をいかし、スマホと家電製品のかけ算で特徴を出していきたい」
――シャオミの強みとは。
「シャオミはハードウェア(端末)事業の利益率が5%を超えないようにしていますが、これは他社にはない戦略です。5%以下に抑えると何ができるかと言うと、良いものを多くの人に適正価格で届けられます。誰もが良いものを使えるようにしたいという考え方が基本にあります」
――挑戦的な数字に感じます。
「すごく難しいことです。利益率を抑えてでも、適正価格にする。これはトップの意思です。グローバルの規模の大きさが、コスト競争力に結びついています」
電気自動車、家電、ヒューマンのかけ算
――日本市場でシェア3位以内に入るために、必要なことは何でしょうか。
「ブランド力は正直言って、まだまだ満足できるようなものではありません。シャオミとしてはソーシャルメディアに強さがあるので、訴求力の強さを示していきたい」
――日本オリジナルのモデルを開発する予定はありますか。
「今のところはありません。なぜかというと、日本独自モデルとなると、価格で特徴が出せるのかという点では、違うと思います。グローバルの共通モデルを、なるべくいじらないで提供したい。グローバルの統一モデルが日本でも受け入れられるという自信もあります」
――シャオミは電気自動車(EV)も開発しています。
「発表した車には、我々のコミュニケーションツールを含めて、良さが詰め込まれています。ヒューマンと車とホーム(家電)のかけ算が、今後はいろんな形の商品に現れてくるでしょう。これからも期待していただければと思うし、車も家電も規模が大きく、シャオミはそういう点でもワクワクできる会社だと思っています」
――大沼社長は30年間、携帯電話事業に携わってこられました。
「当時は肩にかける『ショルダーホン』という重いものでしたが、今ではアプリケーションを入れたスマホになり、スマホがないと生活できないくらいになっていますよね。そういう変化を30年間見てきました。夢の世界、映画の世界だったものを、誰でも当たり前に使うという時代になりました。AI(人工知能)が発展したときにはどう変わっていくんだろうか。将来、夢のような世界がどんどん実現したときには、どんな風になっているんだろうか。そんな変化を経験できる業界は、なかなかありません」(聞き手・田中奏子)
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