1日に打ち上げられた新型の地球観測衛星「だいち4号」(開発費約320億円)は、災害時の情報把握や防災のほか、様々な活用が期待されている。

  • 失意の指令破壊から1年 「だいち4号」に支えられた開発者の祈り

 現在運用されているだいち2号は、夜間や悪天候でも観測できるレーダーを搭載している。1月の能登半島地震で生じた最大4メートルの隆起や、2020年7月の熊本豪雨での球磨川の氾濫(はんらん)状況を捉えた。こうした情報は政府や自治体などに伝えられ、どの場所に重点的に物資や人員を配置するかを決める際の情報としても使われている。

 だが、14年に打ち上げられた「だいち2号」の設計寿命は5~7年で、いつ使えなくなってもおかしくはない状態という。

 H3初号機の打ち上げ失敗でだいち3号(開発費282億円)を失ったこともあり、4号の打ち上げが急がれていた。

 4号は2号と比べて観測できる幅が4倍に広がり、精度も上がった。その結果、日本全土を観測できる頻度も年4回から年20回に増える。

 災害が起きたときの対応に加え、火山噴火の予兆や地盤沈下の発生といった異変の早期発見にも使われる。

 そのほか、ダムや堤防が老朽化でゆがんでいないかを数ミリ単位で捉えたり、船の種類や位置情報を受信して運航管理に役立てたりする。世界各地の水田の作付面積を把握して農業政策に活用することも期待されている。(佐々木凌)

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