欧州連合(EU)は1日、フェイスブックやインスタグラムなどの利用を有料にする代わりに、収集した利用者のデータを組み合わせて「ターゲティング広告」に使わなかったり、こうした広告を表示しなかったりする、米メタの欧州限定の「有料サービス」が、デジタル市場法(DMA)に違反しているとの暫定的な見解を示した。メタ側の反論も踏まえ、来年3月までに最終判断する。違反が認められれば、世界総売上高の10%を上限とした制裁金を科す可能性がある。

 今年3月に本格運用が始まったDMAは、ターゲティング広告を念頭に、利用者のデータを他のサービスで取得したデータと組み合わせて使うことを禁じている。

 DMAを受けてメタは、昨年11月から欧州に限定して、月々約10ユーロ(約1700円)の有料サービスを始めた。広告が表示されないほか、フェイスブックやインスタグラムで収集したデータをターゲティング広告に使わないことをうたっている。

 しかしEUの行政を担う欧州委員会は、「有料か同意かの二者択一的な選択は、利用者にデータの提供を強いている」と指摘。正当な代替手段を提供していない恐れがあるとして、DMAに違反するとの見方を示した。

 DMAをめぐっては、EUは6月24日に米アップルに対し、iPhone(アイフォーン)向けなどのアプリストアの「開放」が不十分だとして、違反しているとの暫定的な見解を示している。(ブリュッセル=牛尾梓)

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