日本の原風景とも言える、里山のため池や小川。人口減による耕作放棄や護岸工事、外来種などで生態系が脅かされている。

 日本トンボ学会員の喜多英人さん(65)は5月下旬、群馬県みなかみ町の小川で、「アサヒナカワトンボ」を撮影した。エメラルド色の光沢のある体で「初夏を代表する、里山を彩るきれいなトンボ」だという。関東以西に生息する日本固有種だ。ほかにもコサナエやハラビロトンボも飛んでいたという。

 ただ、近年は全国的に「昔のようにトンボがすめる場所が減った」と喜多さん。護岸工事で卵を産む水草がなくなり、侵入したブラックバスなどにヤゴが食べられたりするからだ。

 みなかみ町は昨年2月、日本自然保護協会や三菱地所と、生物多様性を守り回復させる「ネイチャーポジティブ」を目指す協定を結んだ。活動の一つ、ため池の保全では、水を抜く「かいぼり」でコイやブラックバスを駆除した。地道ながら里山を守る活動も広がりつつある。(市野塊)

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