神戸市内の企業が製造したミネラルウォーターから、健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)が検出されていたことが5日わかった。食品衛生法上の基準はないが、水道法の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)の最大約6倍に相当する濃度。市の要請を受けて企業側が対応し、現在は目標値以下に収まっているという。

 兵庫県明石市議会の辻本達也議員(共産)が神戸市に情報公開請求し、公開された資料を元に朝日新聞が市に取材した。市は企業名や商品名を明らかにしていない。

 市によると、2022年12月、このミネラルウォーターから水道水の暫定目標値を上回るPFASが検出されたと厚生労働省から情報提供があった。市が23年1月と6月、複数ある原水の地下水を検査したところ、1リットルあたり94~310ナノグラムのPFASが検出され、商品のペットボトルからは100ナノグラム程度が検出された。市は、事業者に対応を要請。11月には、12月20日までに目標値以下へ低減させることと、低減できない場合は販売を停止するよう要請した。企業側はPFASを除去する活性炭フィルターを設置し、市は昨年12月の検査で目標値以下になっているのを確認したという。

 PFASを巡っては、水道法で水質の管理目標として暫定目標値が定められているが、規制ではない。さらにミネラルウォーターに関係する食品衛生法上の基準もない。

 市健康局の丸尾登・生活衛生担当部長は「(水道法など)法律は異なるが、目安の数値があり、それを超えていた。全体の予防安全的な観点から、PFASの摂取量を減らすべきで、法律上の違反ではないが、そのままにしておくわけにはいかなかった」と企業に対応を求めた理由を話す。

 企業側は市の要請に協力的だったといい、丸尾部長は「どれだけの量で健康への影響が出るのか、科学的根拠に基づく基準があれば、われわれも対応しやすくなる。早く基準を作って頂きたい」と国に対応を求めた。

 情報公開請求した辻本議員は「ミネラルウォーターは水道水よりもきれいな水というイメージが先行しており、食品衛生法上の対応が遅れているのではないか」と国の対応を疑問視する。(大久保直樹)

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