報道陣に公開された建造中の北極域研究船「みらい2」の一部(横浜市磯子区)

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は19日、建造中の北極域研究船「みらいⅡ(ツー)」の一部を報道陣に初公開した。2026年11月の竣工を予定しており、老朽化に伴って25年度に運用を停止する海洋地球研究船「みらい」の活動を引き継ぎ、気候変動の影響が顕著に表れる北極域を調査する。

みらいⅡは全長128メートル、幅23メートルで、97人(うち研究者らが約60人)が乗船できる。総建造費は339億円に及び、運用期間は約30年を見込む。厚さ1.2メートルの氷を砕きながら航行できる砕氷機能を持つのが特徴だ。空中や海中ドローン、無人探査機といった海氷観測や海底地形調査などに必要な装備を網羅しており、海上の科学研究拠点としても機能する。

ジャパンマリンユナイテッド(JMU)の横浜事業所磯子工場(横浜市磯子区)で建造中で、切り抜いた鉄板を溶接したブロックと呼ばれるパーツを組み立てている。今回公開されたのは、船底部を構成するブロックの一部。それぞれ長さ約10〜15メートルで、海氷に触れる部分には摩擦力を低減するため、鉄板に薄いステンレススチールを圧着する工夫が施されている。

最終的に大小合わせて250個ほどのブロックが造られ、24年9月ごろに建造ドックでの組み立てが始まる。25年3月の進水予定で、27年夏に北極域での観測航行に出ることを目指す。

国内の北極域観測はこれまでみらいが担ってきた。ただ砕氷機能を持たないため、観測は海氷がない場所や時期に限られていた。みらいⅡを活用してこれまで観測できなかった海域を調査することで、地球温暖化などに関する研究がさらに進むと期待される。

JAMSTECの赤根英介・北極域研究船推進部長は「海氷域で当たり前のようにいろんな科学研究が実行できる船になってほしい」と話した。

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