“強制労働の場所”韓国が反発 政府が歴史展示へ

「佐渡島の金山」をめぐっては、韓国が「朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として反発した経緯があります。

ユネスコの諮問機関「イコモス」は追加の勧告として採掘が行われたすべての時期を通じた資産に関する歴史の説明や展示戦略を策定し、施設や設備などを整えるよう配慮を求めていました。

これを受けて政府は、新潟県佐渡市にある「相川郷土博物館」で朝鮮半島出身者が徴用された歴史などに関する展示を行うことになりました。

展示されるのは、朝鮮半島出身者を含む労働者の出身地や暮らし、戦時中の過酷な労働環境について説明するパネルや、関係する資料です。

展示では1940年から45年にかけて、およそ1500人の朝鮮半島出身者が金山などで働いていたことや、朝鮮半島出身者は危険な作業に従事する割合が高かったことなどが紹介されます。

28日から常設展示として一般公開されます。

世界遺産登録までの道のり

「佐渡島の金山」をめぐっては地元の新潟県と佐渡市が世界文化遺産への登録を目指し、ユネスコ=国連教育科学文化機関に推薦するよう政府に働きかけていました。

これを受けて、文化庁の審議会は3年前の2021年12月、推薦候補に「佐渡島の金山」を選定すると答申しましたが、選定は推薦の決定ではなく、政府内で総合的に検討すると異例の注釈をつけました。

背景には、韓国が「朝鮮半島出身の労働者が、強制的に働かされた場所だ」と主張していたことがあったとみられます。

政府・自民党内では、韓国が反発する中で世界文化遺産に登録されるか見通せないなどと推薦に慎重論がある一方、保守派の議員を中心に、「韓国の主張は不当なものだ」などとして推薦を求める意見も出されました。

賛否両論ある中、岸田総理大臣はおととし1月「佐渡島の金山」をユネスコに推薦することを決めました。

ところが、ユネスコから諮問機関のイコモスに推薦書が送られておらず、審査の手続きが進んでいないことが明らかになりました。書類の不備が原因でした。

その後、政府は、不備を指摘された部分を修正。去年1月に推薦書を再提出しました。

去年8月にはイコモスの調査員が現地を訪れ、保全管理の状況や地域の協力などについて確認するなど調査が続けられていました。

そして、ことし6月、ユネスコの諮問機関「イコモス」が4段階ある評価のうち上から2番目の「情報照会」の勧告をまとめ、日本政府に対し通知しました。

勧告では世界遺産への登録を考慮するに値するとしつつ、資産の範囲の修正などを求めていたため、政府は今月の世界遺産委員会での登録を目指し、新潟県などと協力して対応していました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。