鹿児島県は鹿児島黒牛(左)や黒豚(右上)、黒さつま鶏といった畜産が盛んだ=JA鹿児島県経済連提供

JA鹿児島県経済連と九州大学などは29日、牛や豚、鶏といった家畜がゲップや排せつ物を通じて出す温暖化ガスについて、排出削減量を売買する制度の研究を始めた。同経済連によると、この3種類の畜産家畜全体での売買制度のモデル化を図るのは、世界的にも珍しいという。

家畜由来の温暖化ガス排出削減量の売買に向けて研究するのは、「未来畜産GHG排出量削減ーkモデル」。同経済連と九大芸術工学府環境設計部門(早渕百合子准教授)のほかに、コンサルタントのLinkhola(東京・港)や、温暖化ガスなどの計測機器を開発するAmaterZ(東京・渋谷)なども参加する。

家畜のゲップや排せつ物には、メタンや一酸化二窒素(N2O)などの温暖化ガスが含まれる。こうしたガスの排出量を測定・評価するほか、試験農場の運営、国内外の取り組み事例と活用、排出量削減を売買する「ボランタリークレジット」のあり方などを研究する。

鹿児島県は肉用牛や豚、ブロイラーの飼養頭数シェアが日本一で、発生する温暖化ガスの量も多い。このため「牛・豚・鶏の3つ同時に取り組んで国内の畜産全体での温暖化対策を図って付加価値を上げたい。また家畜の成長を促進したり、飼料の適量化を調べたりして農家の生産コスト低減につなげたい」(JA鹿児島県経済連)考えだ。

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