【デンバー(米コロラド州)=清水孝輔】米半導体大手エヌビディアは29日、ヒト型ロボットの開発を支援するソフトウエア基盤を拡充すると発表した。ロボットを動かす頭脳となる基盤モデルの学習に必要なデータを合成する新技術を開発した。同社のソフト基盤に搭載し、大量のデータが必要なロボット開発の効率を高める。
新技術は同社のロボット開発基盤を使う企業向けに提供する。開発者はまず米アップルのゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」などを使って人がロボットを遠隔操作する動きを記録する。端末で得た少ないデータをもとに、ロボット開発に必要な追加データを合成できる。
従来のロボット開発は担当者が物を置いたり持ち上げたりする単純作業を繰り返し、その都度記録して学習データをそろえている。新技術でデータを合成すれば、開発にかかる作業の手間を減らせる。
エヌビディアは米コロラド州デンバーで開催中のCG(コンピューターグラフィックス)分野の国際会議「シーグラフ」でロボット開発に関する新技術を発表した。同社はシーグラフの代表的なスポンサーで、生成AI(人工知能)などの開発者向けの研究成果を披露している。
エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は29日、シーグラフに登壇して「次の波は物理的なAIだ」と述べた。ヒト型ロボットといった現実世界を理解して状況に対応するAIの技術が進化するという見方を示した。
エヌビディアは29日、米ボストン・ダイナミクスなどのロボット開発企業と連携して開発を進める方針を示した。協力先の企業がエヌビディアが手がけるロボット開発基盤の最新技術をいち早く使えるようにする。
エヌビディアの画像処理半導体(GPU)はもともとゲームや映像でデータを処理する目的で使われてきた。近年は生成AIブームでデータセンター向けが急拡大している。同社はシーグラフでCGやAIの関連企業や技術者と連携を深め、GPUの用途開拓につなげる。
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