ロボット研究で知られる大阪大学の石黒浩教授は1日、「GDS2024世界デジタルサミット」(主催:日本経済新聞社)で登壇し「アバター(分身)を使えば障害者や高齢者など様々な人が今以上に自由に活動できるようになる」と述べた。
石黒教授は同大発スタートアップの「AVITA(アビータ)」(東京・品川)社長も務め、自律型ロボットやアバターの技術に関する研究開発を手掛ける。
「アバターと未来社会」をテーマにしたこの日の講演では「今後日本の人口は半減し、深刻な労働者不足に陥る。アバターの活用で車いすの人や高齢者なども働けるようになり、働いている人はさらに生産性を向上できる」と説明した。
アビータでは人工知能(AI)アバターが社員に接客のトレーニングをするサービスを提供する。例えば保険会社の社員はパソコンなどの端末を使い、顧客役のアバターの相談に対応する練習ができる。その後評価や助言を得られるといい、「人材育成などを大幅に効率化できる」と紹介。医療分野では離島など医者が少ない地域でアバターを活用した事例もあるとし、「町の小さな病院にあるアバターに様々な専門医が乗り移り、総合病院の機能を持てる」と話した。
最後に「差別は肌の色の違いや障害などから生まれる。その肉体の制約からアバターで解放されることで誰もが認め合い共に生きることができる。普段の能力以上に働くこともでき、生産性向上にもつながる。これから労働者や医者が減るなど日本の問題をアバターで解決していきたい」と締めくくった。
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